なんじゃ、こりゃ。だれがそんなもん期待してるの。東証にとっての顧客って誰なの?
お役所東証の残念な発想
「東京証券取引所は想定外の事態が起きたときの対応に不備があったとして市場運営者としての責任を認める」としながら、社長の月給1ヶ月10%の減額だと?証券会社は顧客対応でまだまだ混乱してるんですよ。東証の顧客って誰なのか真面目に考えたの? そう言いたくなります。
ほぼ同じタイミングで不正が発覚したKYBの不祥事対応、顧客対応が格好よく見えてきました。少なくとも彼らは「必要な性能を満たしていない可能性がある商品すべてを交換する」ということを、まず最初に表明しました。迷惑をかけた可能性のある顧客のことを第一に発想してますよ。社長や役員の報酬をカットするかどうかなんてその後の話でしょう。
不祥事対応の最悪なパターン
不祥事を発生させてしまった企業がとる対応の最悪パターンですね。システム障害発生の原因究明が不十分であり、原因となったシステム接続方法や障害発生に関する情報開示が迅速かつ的確に行われてきませんでした。そのうえで出した結論には、東証にとっての顧客(証券会社とその先に繋がる投資家)に対する目線がまったく感じられません。
このあと、投資家や証券会社からの批判を浴びながら責任のとり方を小出しにして行くんでしょう。報告書を提出する金融庁は受理するかもしれませんが、証券会社はこのままでは納得しません。KYBの不祥事とは違って、証券会社が被った被害は具体的な損失金額が確定しますので、訴訟へと進んでいくものと思われます。
東証の主張を整理してみると
今後さらに東証の対応が明らかになっていくと思われますが、現時点での報道をもとに、東証の主張を整理しておきましょう。
責任があるとしているのは、
- システム障害発生に対して回線を速やかに切り替えられなかった証券会社の責任
- 想定外の事態が起きたときの対応に不備があったという東証の責任(その責任に対して社長の報酬1ヶ月10%削減です)
これに対して責任がないとしているのが、
- システムおよび証券会社に対する接続方法の指示内容に不備があったという東証の責任
であり、ここまでその責任等に一切触れていないのが
- メリルリンチ日本証券の大量のデータ誤配信の責任
となります。そして最後に、顧客である証券会社と投資家に対する東証の責任については、原因究明を開始する前から完全に否定したまま現在に至っています。「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」などを制定し、上場会社に対して、ガバナンスの高度化を求める東証。今後の動向が気になります。