日産自動車 ゴーン氏から何を学ぶか

同一人物が執行と監督の双方を兼ねる体制

ある新聞の社説で見つけたお話。日産自動車のガバナンス体制について、「同じ人間が執行と監督の双方を兼ねる体制が機能するわけはなく、ガバナンスの不備がトップの暴走を許す土壌となった」。おっしゃる通りだと思います。この新聞に限らず、異口同音にこのことは批判されています。

後の祭りですけどね

その通りなんですが、ことが起きてからなら誰でもこういう批判はできるわけです。問題はことが起きる前にどうやってガバナンスを機能させるかです。当ブログをお読みいただいている方はおそらく、監査や検査、コンプライアンスといったお仕事をされている方や興味を持たれている方が多いと思います。

ことが起こらないように、トップをけん制していくことが、こうしたお仕事されている方たちのミッションですよね。kuniもまさにそこに注力してきた一人です。今回の日産自動車の件にしてもそうですが、こうしたお仕事をされている方たち、ゴーン氏にどう接してきたんでしょう。

コンプライアンスや監査、検査のお仕事

執行サイドの推進力に対し、時にはブレーキにもなってしまうこうしたお仕事はほんと大変です。もう少しで成果を手に入れることが出来そうなとき、寸前で待ったをかけなきゃいけないような場面だってあります。じっくり話をして分かってもらうしかないんですが、これは本当に骨が折れます。

しかし、今回のゴーン氏の件、他の誰にも無理だと思われる偉業を成し遂げ、日産を復活させた立役者でさえ、一線を越えると自分自身を見失ってしまい、取り返しのつかない事態に陥ってしまうという良い教訓になりました。権力が集中しすぎるきらいのある経営者に接する際は、あのゴーン氏でさえこういうことになったんだという事例を紹介して、必要な場面では思い止まってもらいましょう。

日産自動車 ゴーン氏の事例で学ぶべきこと

まだまだ事件の全容は解明されていませんが、今のところ我々が学習したのは

  1. 権力の経営者一人への集中は危険
  2. 牽制を効かせる取締役、監査役は誰なのか(いなければもっと危険)

というところでしょうか。一般的に危険な体制ではあるものの、そんな中でもバランス良くやってきた経営者が、どのように自分を見失っていくのか。ゴーン氏が自分を見失うことになった場面やきっかけについては、このあとの報道等でしっかり押さえていきたいと思います。

ちなみに、先日の日経新聞の池上さんのコラム:大岡山通信 では、経営者にとって大事なことは後継者の育成だが、その後継者となりそうな人物が左遷されたり、追放されたりするようになると、赤信号であると書いておられました。おっしゃる通りですね。