大学と地銀に共通する衰退していく側の論理

週刊東洋経済のコラムで面白い話を読みました。コラムのタイトルをそのまま使わせてもらってます。筆者があるパーティーに参加した際のお話で、「国立大学の学長と地方銀行の頭取が、あいさつでまるで同じことを言っていたので、思わず苦笑してしまった」との書き出し。

大学と地銀、一見全く関係のなさそうな業種ですが、この書き出しを読むだけで、その場の様子が想像できませんか。政策によって推進され、一時はかなりステイタスの高い企業、組織になっていたと思われます。別に業界の中に熾烈な競争があったわけではなさそうで、気が付いたら、「近所のご同業と統合されたらいかがですか」と肩をたたかれている。そんな共通点が思い浮かびます。

また、筆者は二人の話の共通点について、「守りの姿勢」と「行政の介入を拒む姿勢の強さ」もあげていました。地域特性があるから、公的な役割があるから、自分たちは潰れるはずがないと思っていたことだ、とも言っています。なかなか本質を突いたご意見でした。

武田薬品 シャイアー社買収の臨時株主総会

上記のコラムを読んだ直後、kuniにも面白い展開が訪れました。武田薬品のシャイアー買収に向けた臨時株主総会のニュースに触れたのです。12月5日に開催され、株主の2/3以上の賛成を得て承認されました。来年1月には買収が完了するということです。

非常に対照的ですよね。製薬業界も特に創薬の分野では生き残りをかけた競争が激しいと聞きます。日本企業によるM&Aとしては最大級といわれる買収劇です。kuniにはこの買収が成功するのかどうか分かりませんが、彼らは衰退していく側にはならない決定をしたわけです。

この業界には新薬の特許が切れてしまうと、途端にその分の収益が見込めなくなるという特殊なルールが存在します。当然その時期に向けて新たな収益源を探す必要があります。有望な新薬が出てこないのならM&Aでということにもなるんだと思います。が、しかしそこには社運を賭けた決断があるわけです。

今月ソフトバンクが新規公開することで話題になっていますが、ソフトバンクグループも同様です。過去にとてつもないM&Aを繰り返して、ここまで成長してきました。彼らのM&Aを支える財務戦略は凄いです。あれだけの借金をしながら、普通に企業経営ができる孫さんが凄いんですね。

冒頭の地銀や大学。後半の武田薬品やソフトバンク。あまりに対照的ですよね。で、どちらも日本を代表する企業、組織として、今注目を集めています。