社外取締役 知らぬが仏?

コーポレートガバナンス・コードをはじめ、いろいろなところでその必要性や機能、役割を期待されている社外取締役ですが、当ブログでもたびたび書いてきたように、現実にはなかなか機能していないというのが実態です。この6/14の日本経済新聞でもそういった一面を取り上げています。

情報が共有されなければただのよそ者、門外漢

社外取締役には弁護士や大学教授、元官僚や、他の業態の経営者などが多く選任されています。それぞれに高い専門性を有しているのでしょうが、会社の様々な情報がインプットされないと、期待されている機能は発揮できません。当然のことですね。

このことに加えて、記事では社外取締役が(不正等の)情報を知り得たかどうかで責任の重さが変わるという、日本特有の事情を問題視しています。事例としてスルガ銀行の件をあげています。情報を知り得たかどうか、、、整理してみると、

①情報を全く知らなかった
②情報を知る機会はあったが、積極的に調査せず、共有には至らなかった
③情報は共有されていたが、それに対する特別な行動を起こさなかった。

こんな感じでしょうか。①には積極的に調査しようとしたが拒まれ、知るに至らなかった。も含んでいると思ってください。最近の不正・不祥事の事例に関する第三者委員会の報告書等を読んでも、③のケースはほとんどありません。あったとしても②のケースまででしょうか。③は当然善管注意義務違反が問われるでしょうし、②のケースでも「機会の程度」によるでしょうが、同違反が問われることがあると思われます。

そのため、記事のタイトル「知らぬが仏」なんてことになるんですね。中途半端に知ることとなるくらいなら、いっそ何も知らない方がありがたいと。しかし、これじゃ社外取締役を置く意味がありません。

機会の程度

②について、「機会の程度」と書きました。実はここが重要だと思います。「明らかに他行と違い、利益率が突出している」、「この事業セグメントでこの利益率は高すぎる」といった情報はあるわけです。ただそれを異常と感じることができるかどうかです。スルガ銀行のケースなど、金融関係者はみんなおかしいと思っていましたが、弁護士や元IT企業役員の社外取締役には気付き(機会)にならなかったということですね(かなり良心的な解釈してますが)。

この記事、専門家のコメントも織り交ぜ、良い記事だと思います。ただ、一つだけ残念なのは、スルガ銀行の件がひと段落してから書くんだ。ということ。誰に配慮したんだか知らないけど、もっと事件が衆目を集めている最中に書くべきでした。