エルシオ フレネル型液晶レンズ 小児弱視の治療に

大阪の光学スタートアップ企業のエルシオは、度数を自在に変えられるレンズを開発したそうです。電圧をかけることで、液晶レンズ内の液晶分子を傾けて、光の進み方を変えることで度数を自在に調整できるといいます。小児弱視の治療期間を最大4分の1にできる眼鏡が実現できそうだとのこと。この記事は7/24付け日経産業新聞から。

小児弱視

日本では約7万人、米国では30万人の患者がいるらしく、成長に合わせて度数を変えながら治療に2年かかるとか。数か月ごとの通院や眼鏡の買い替えで30万円程度かかるらしいですが、この新型の眼鏡であれば、常に最適な度数で使い続けることが可能になり、治療期間も大幅に短縮できるんだそうです。

21年度の発売を見込んでいて、年1万個程度を量産した場合の価格は7万円程度を見込んでいます。治療期間も治療費も4分の1程度に抑えることが出来そうですね。

開発者 渋谷義一氏

渋谷氏はTDKで30年間光記録媒体の研究に従事し、その後は液晶レンズの研究を手がけたものの、商品化できなかったそうです。55歳で早期退職して大阪大学に移り、そこで研究が花開き大学内起業でエルシオを創設したとのこと。

会社でやり残した仕事を退職してからも続け、ここまで育て上げたんですね。カッコいいじゃないですか。kuniと同じ世代ですし、会社を退職した後の人生が少し重なって見えるところもあり、この記事になったってところです。いやぁ、素晴らしい。

フレネル型液晶レンズ

冒頭に書いたように、電圧をかけることで液晶分子が傾く仕組みは、まさに液晶テレビの画面と同じです。液晶分子が傾く(寝てたものが立つ)ことで、後ろのライトが見える。そこが明るく見えるのが液晶テレビの原理です。レンズの場合は液晶分子が傾くことで、その部分を通過する光を屈折させているんですね。

可動機構を組み込まなくてもズームが可能になるため、眼鏡以外にも、監視カメラや車載カメラ等の小型化にもつながりそうだとしていました。スマホカメラの小型化にも貢献しそうですね。

記事にはありませんでしたが、老眼鏡なんかも自由度の高いものが出来そうです。手元を見るための老眼鏡が一瞬にして、遠くを見るための眼鏡になるでしょうし、外に出るときはサングラスにもなってくれそうです。この用途にはもう少し価格が下がらないと難しいですかね。