「次のバブルはグリーン・エネルギー」 30兆ドルのカーボン・バブル

「次のバブルはグリーン・エネルギーだ」。このセリフで映画のタイトルが分かった人は、相当な映画通ですね。実はこれ、2010年のアメリカ映画「ウォール・ストリート」でゴードン・ゲッコーが口にしたセリフです。1987年の「ウォール街」の続編ですね。

kuniは一作目を劇場で観ましたが、二作目は観ていません。たまたま先日CATVで二作目をやってまして、酔っぱらいながら少しだけ観ました。その時にゲッコーがこのセリフを。で、妙にその印象が残っているわけです。今ではグリーンエネルギーとはあまり言いませんね。最近の流行りの言葉ですと「再生可能エネルギー」でしょうか。

「気候変動が金融危機の火種に」

こちらは「選択」8月号の記事のタイトルです。ロンドンのシンクタンク「カーボン・トラッカー」は2011年に「燃やせない炭素~世界の金融市場はカーボン・バブルなのか」というレポートを発表。2013年には「燃やせない炭素2013~無駄な資本と座礁資産~」を発表し、次のような主張をしています。

石油、石炭、天然ガスの確認埋蔵量を燃焼させた場合に発生する二酸化炭素の量は、2兆7950億トン。これに対して、産業革命以降の気候変動を2度未満に抑えるためのCO2排出量規制を実行するなら、人類が排出可能なCO2の量は5650億トンでしかない。

つまり、2兆2300億トン分は地中に埋めたままにしておかなければならないということ。この将来燃やすことができない確認埋蔵資源のことを「座礁資産」と呼んでいます。化石燃料企業の株価は、保有する埋蔵資源が将来消費されることを前提に算定されているが、座礁資産の分だけ空前のバブルが発生しているという主張なんですね。この座礁資産=バブルで買われ過ぎている金額が20兆~30兆ドルに及ぶとのこと。

ダイベストメント(投資撤退)

バブルは既に膨らみ切っていて、ただそのことに皆が気付いていないということのようで、ダイベストメント(投資撤退)が進むことでバブルを縮小することができるとの主張です。しかし、これが少しづつ、いい具合に縮小するかというと、そうではなく、どこかで「我先に・・・」という行動心理が働き始めて金融危機を誘発するでしょう。

既にそうした動きが始まっているとも言っていて、化石燃料業界の株価やプラントエンジニアリングなどの周辺業界でも、株価に影響が出始めているとのこと。先月、欧州を襲った記録的な熱波のニュースなんかも、多くの人が環境問題に気付かされたかもしれませんね。

ゲッコーが言うグリーン・エネルギーがバブルではなく、グリーン・エネルギーの台頭が、化石燃料バブルを弾けさせるというお話でした。ゲッコーはどういう意味で言ったのか、ウォール・ストリート、機会があったらじっくり観てみたいと思います。