kubota クボタ 検査成績書の不適切行為に関する報告書

今週はクボタが調査結果を公表しました。報道では40年以上にわたって不正が行われていた、という点が強調されています。クボタの検査成績書の改竄については、いくつかの検査工程に分かれていて、そのうち硬度検査においては40年以上前からの不正が確認されたということです。

クボタ 不正の内訳

5つの検査工程で不正が確認されており、それぞれについて不正の始まったと思われる時期が示されています。その内訳は、硬度測定検査(1977年~)、外殻厚さ測定検査(2001年~)、寸法測定検査(2002年~)、成分分析結果(1991年~)、顕微鏡写真の流用(1995年~)となっています。

問題となった製品は、圧延用ロール、圧縮機用シリンダーライナーで、特に圧延用ロールにおいて不正が多く、硬度測定検査については20%の製品で不正が行われていました。最も悲惨なのは同じ圧延用ロールの顕微鏡写真の流用で、99.2%の製品で行われていたようです。

クボタ 発覚の端緒

今回の不正の端緒は、内部通報制度によるものでした。しかしながら、内部からの告発は今回だけではなく、少なくとも2013年2月以降、複数回にわたり硬度測定結果の改竄行為を示唆する指摘があったとされています。不正の全容を早期に解明し、是正を図ることが可能であったにもかかわらず、その機会を逸しています。

内部通報については実績があるものの、それを受ける側の事務局やこれを受けての経営層の品質問題に関する意識の低さが露呈したわけです。皆さんの会社はどうですか?内部通報は年に何回かはあるけど、それを起点に大掛かりな社内対応はしたことがない。よくある話ではないでしょうか。

これも制度としてみた場合、全く機能していないということです。従業員からの指摘内容が自社の重大なリスクにつながり得ることをイメージし、認識することができるかどうか。また、時代や社会情勢の変化に伴い、そのリスクにどこまで向き合い、対処するか。ここ重要ですね。

発生原因の主なもの

発生原因についてもいろいろと書かれていますが、ちょっと気になるものをあげておきます。まず第一に、検査結果の書き換えが可能な検査システムであること。また第二に、組織上、検査等を実施して牽制すべき品質保証部署が、プロフィットセンターである製造部門から独立していないことです。なんと、これは2018年10月まで継続しています。

そして第三に固定化した人事。検査担当や品質保証、技術サービスといった関連するポストの人材について、ほとんど人事ローテーションが行われていません。ほかにも、これは他社の事例とも共通することですが、収益改善を強く求められていた(収益至上主義につながる)ことや、納期厳守といった原因があげられています。

最後に、報告書の指摘の中で次のような記載があります。「顧客が不自由なく製品を使用することができる機能・製品が担保されており、かつ、製品不良に起因する事故や故障等に関するクレームを受けていない」という考え方、よって顧客が求める仕様との相違は問題ないと判断してきた。

この部分については回を改めて考察してみたいと思います。