キャッシュレス決済 第4回

第3回までのお話をちょっとまとめてみると

第2回で、キャッシュレス推進により、さまざまなメリットがあると書きました。たとえば「実店舗等の無人化や省力化」という期待メリットがあるということは、現状ここに膨大なコストが掛かっているということです。報告書では主にモノを売る小売店舗をイメージしていますが、銀行店舗やATMに関しても同じことが言えます。

一方で、第3回では、日本でキャッシュレスが進まない理由として、「ATMの利便性が高く、現金の入手が容易」をあげています。「銀行」を主語にして頭を整理しなおしてみると、話が繋がってきそうです。

まずは大幅なコストダウンの実現

キャッシュレス決済の推進によるフィンテックへの取り組みというと、まだまだそれでどれだけ儲かるのっていうゴールイメージは想像しにくいと思いますが、少なくとも大幅なコスト削減までは目途が立ちそうですよね。

昨年の秋口以降、メガバンクが一斉に大幅な人員削減、店舗の整理やATMの廃止を公表し始めました。銀行としては、キャッシュレス決済は他業種からの参入もあり、避けて通れない。であれば、スタートアップ企業と連携して自らキャッシュレス決済に本気で取り組み、少なくとも従業員、店舗、ATMの大幅な削減については実現できそうだ、と踏んだのではないかと思われます。

メガバンクの取締役会で、フィンテックへの取り組みについてプレゼンする場面をイメージしてください。フィンテックを薔薇色に語ってもいまいち全容が想像できない、理解できない。会議参加者から合意を取り付けるのはかなり難しいと思います。しかしながら、キャッシュレス決済の導入により、店舗が、ATMが、こんなに削減可能で、そのコストダウン総額は・・・。このシナリオは合意が得やすいんじゃないかと。あくまでkuniの想像ですよ。

国民にとっての便利なインフラ=銀行にとっての負の遺産 ⇒ キャッシュレス決済による利便性の提供=従業員、店舗、ATMの廃止による大幅なコスト削減。この関係を理解したうえで、銀行等のキャッシュレス決済が、今後どんなふうに展開していくのか、見ていきましょう。

(第4回 終わり)